解体工事とアスベスト~除去と処理と費用のまとめ
かつては当たり前のように広く建築資材として使われていたアスベストですが、人体への健康被害が指摘されたことで現在では厳しく規制されています。岡山県で解体工事を検討している方が知っておいた方が良いアスベストの基礎知識、解体時の注意点、除去の流れや費用などについて解説します。
アスベストとは?解体工事との関係

アスベストとは何か?
アスベストは別名石綿とも呼ばれる、自然界から算出する繊維状の鉱物です。
耐火性、耐久性、断熱性に優れており、かつては建築資材に広く使用されていました。特に昭和30年代から50年代にかけては、住宅をはじめ、ビル、工場などの断熱材や防音材として当たり前のように多用されていた歴史があります。
しかし、アスベストは非常に細かい繊維でできているために空中を浮遊し、これを吸い込み蓄積することで健康被害を引き起こしてしまいます。そのことが明らかになって以降、急速にアスベストの使用は控えられるようになり、2006年には全面的に使用が禁止されるに至りました。
アスベストの健康被害
アスベストの繊維は非常に細かいため空中を浮遊します。これを吸い込むと中皮腫や肺がん、石綿肺といった病気を引き起こすことが知られています。
中皮腫
アスベストが原因の悪性のガンで胸膜や腹膜に発生します。やっかいなことに潜伏期間が30年以上と非常に長く、過去にアスベストを吸い込んだ人が数十年後に発症するケースが目立ちます。
肺がん
アスベスト繊維が肺に蓄積することでガンを引き起こします。特に喫煙者の場合は発症リスクが激増すると言われています。
石綿肺
アスベストを吸い込むことで肺が線維化し、呼吸困難を引き起こします。長期間にわたりアスベストを吸った労働者に多く見られる病気です。

アスベストが使われていた建材
既述の通りアスベストは多様な建築資材に使われていました。以下にまとめます。
建材の種類 | 使用用途 |
---|---|
吹付材(レベル1) | 天井・梁・柱の防火・断熱材 |
石綿セメント板(レベル2) | 内壁・外壁・天井ボード |
石綿含有ビニール床タイル(レベル3) | 床材 |
石綿含有パテ・接着剤(レベル3) | 配管の接合部、内装材の固定 |
石綿含有スレート波板 | 屋根材・外壁材 |
特に「吹付アスベスト(レベル1)」は飛散しやすく、解体時には慎重な調査と対策が必要となってきます。
アスベスト対応で解体工事はどう変わった?
建物にアスベストが含まれている場合、通常の解体工事とは異なり、事前調査の義務化、特別な飛散防止対策など、専門業者による処理が必要となります。
事前調査の義務化
解体工事を行う前に、アスベストが含まれているかどうかの調査が法律で義務付けられています。調査は書面、目視、分析によって行われます。
- 書面調査
設計図や施工記録などの書面を基に石綿含有建材の有無を調査する方法 - 目視調査
設計図書や施工履歴を確認し、アスベストの可能性がある建材を特定する。 - 分析調査
建材のサンプルを採取し、専門機関で成分分析を行う。
そしてこれらの調査結果は解体工事の届け出をする際に行政機関へ報告する義務があります。また、2023年10月からは石綿含有建材調査者の資格を持つ者による事前調査が義務付けられました。
行政への届け出
建材等にアスベストが含まれていると判明した場合はもちろん、アスベストの有無が分からない場合でも一定規模以上の工事では行政などへの届け出が必要です。
- 事前調査結果の報告
アスベストの有無にかかわらず、一定規模以上の工事であれば調査結果を労働基準監督署及び自治体に報告する義務があります。 - 特定粉塵排出等作業の届け出
アスベストを含む建材を扱う作業を行う場合、作業開始の14日前までに所轄の自治対へ届け出が必要です。
飛散防止対策
解体工事におけるアスベストの飛散防止対策は作業者や周辺住民の健康を守るために極めて重要で、求められる飛散防止対策としては以下のようなものがあります。
- 作業エリアの隔離
周囲をシートで覆い、密閉空間を作る - 湿潤化処理
散水し、常に建材を湿潤な状態に保つ - 防護具の着用
アスベストの侵入を防ぐ - 負圧除塵装置を使用
HEPAフィルター付きの集塵機で作業エリア内の空気を管理 - アスベストを含む廃棄物管理
二重密封し適正な処分場へ運搬する
これらの対策により、アスベストの飛散を抑え、安全な環境を維持しなければなりません。
解体工事におけるアスベスト規制と法律
アスベスト除去に関わる法律
アスベスト除去に関する法律には以下のようなものがあります。
大気汚染防止法
アスベストを含む建材の除去/解体工事を対象に、作業開始14日前までに自治体への届け出と湿潤化処理などの飛散防止措置を実施することが義務付けられています。
違反すると最大100万円の罰金となります。
労働安全衛生法
アスベストを扱う作業員の健康保護を対象に、作業前の事前調査、防護服の着用、特別教育の実施などが義務付けられています。
違反した場合は労働基準監督署の指導や罰則対象となる可能性があります。
建設リサイクル法
80㎡以上の建築物の解体工事を対象に、アスベストの事前調査、結果の報告、適正な分別解体の実施が義務付けられています。
廃棄物処理法
アスベスト廃棄物の処理を対象に、産業廃棄物として密閉梱包し、許可を受けた処分場へ適正処理されることが義務付けられています。
アスベスト除去の費用
費用目安
アスベストの除去には、レベルに応じた費用が掛かってきます。おおよその目安は以下の通りです。
アスベスト除去レベル | 作業内容 | 坪単価目安 |
---|---|---|
レベル1(吹付け) | 完全隔離・負圧装置使用 | 15~30万円/坪 |
レベル2(ボード類) | 養生・湿潤化処理 | 8~15万円/坪 |
レベル3(接着剤など) | 粉じん対策あり | 3~6万円/坪 |
岡山でのアスベスト除去関連の補助制度
岡山県下では、アスベスト除去に関連した補助制度が実施されています。
県下全域をカバーするものや、市区町村が独自に設けているものなどがあるので、詳しくは自分が住んでいる自治体に問い合わせてください。
補助制度の内容としては調査分析にかかった費用を補助するものと、除去工事にかかった費用を補助するもの、の2パターンに分かれます。どの補助制度も予算を設けて実施しているため、予算がなくなるタイミングで終了となります。早めに問い合わせることをお勧めします。
まとめ
アスベストはかつて広く使用されていましたが、健康被害のリスクが判明し現在では厳しく規制されています。解体工事を行う際には事前調査の実施、行政への届け出、飛散防止対策の徹底、廃棄物の適正処理が法律で義務付けられています。
補助金制度も用意されていますので、事前に自治体に相談し、確実な対応をしてくれる業者を選ぶようにしましょう。
岡山の解体工事で多くの実績を積んできた日本クレストはアスベスト対応も万全です。解体工事のご相談はいつでも無料ですからお気軽にお問い合わせください。
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