特定空き家とは?指定されるとどうなる?税金・罰則・対策を解説!

特定空き家とは、行政が管理不全と認定した状態の空き家のことです。特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇がなくなり、強制撤去のリスクも出てきます。
この記事では、特定空き家の基準、デメリット、解除方法、売却や解体などの対策について解説します。
特定空き家とは?定義と基準について
特定空き家の定義や基準について解説します。
特定空き家とは
特定空き家とは法的には「特定空家等」と表記され、2015年に施工された「空家等対策の推進に関する特別措置法」でその定義が示されています。定義を大まかにまとめると以下のようになります。
- 倒壊の危険がある
- 衛生環境が悪い
- 景観を損ねている
- 周辺に悪影響を与えている
一般の空き家との大きな違いは「周囲の人に迷惑をかける可能性が高まっている」という点にあるといえるでしょう。そのため、自治体の対応も
「助言⇒指導⇒勧告⇒命令⇒行政代執行(強制解体)」
と段階的に強い対応を取ることが決められています。
さらに、特定空家等に指定されると固定資産税の特例が解除され、税額が最大で6倍にもなります。
特定空き家に指定される基準
特定空家等に指定される基準は前項の4つの定義に準拠する形で以下のようになっています。
✅倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態
老朽化や破損などにより、倒壊や部材の落下など周囲に危険を及ぼす可能性がある状態。
✅衛生環境上有害となる恐れのある状態
ゴミの放置、害虫・害獣の発生などにより、衛生環境が著しく悪化している状態。
✅著しく景観を損なっている状態
庭木や雑草の繁茂、外壁の破損などにより、地域の景観を著しく損なっている状態。
✅その他周辺の生活環境に悪影響が懸念される状態
不法侵入の温床となるなど、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす状態。
「特定空家等」に指定されるデメリット

固定資産税が最大6倍に
一般的な住宅用地には、一部の例外を除いて固定資産税の住宅用地特例が適用されており、税負担を大幅(最大1/6)に軽減しています。
しかし、特定空家等に指定され勧告が出てしまうと、この住宅用地特例から除外されてしまい、税の軽減措置対象から外れてしまいます。
住宅用地特例の軽減幅が最大1/6ですから、特例から除外された場合は固定資産税が最大で6倍に増加することになります。
行政措置の対象となる
特定空家等に指定された場合、段階的に「助言⇒指導⇒勧告⇒命令⇒行政代執行」の行政措置が取られることになります。
助言・指導
所有者に対し、空き家の管理を適切に行うための助言や指導が行われます。この段階で法的な拘束力はありませんが、無視すれば空き家の状態はさらに深刻な状態となるため、早急な対応をとるべきだといえます。
勧告
所有者が助言や指導を無視した場合や対応の有効性が低い場合、自治体は法的拘束力のある「勧告」を行います。法的拘束力があるわけですから、所有者には適切な管理を行う義務が生じます。また、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が適用除外となり、税額が増加することになります。
命令
勧告しても状況が改善しない場合は「命令」を行います。この段階にくると法律上の義務や固定資産税の特例除外となるだけでなく、従わなければ過料が科される可能性が出てきます。
行政代執行
自治体による最終手段です。所有者に変わって自治体が家屋解体などの必要な措置を強制的に取る、という手続きです。費用は所有者に請求されることになります。所有者が支払いと拒むと、所有者の財産が差し押さえられます。
近隣への迷惑
特定空家等に指定されるような段階の空き家の場合、かなりの確率で近隣住民や周辺を通る歩行者、車両に迷惑をかける可能性があります。
- シロアリが発生して近隣住宅へ広がるトラブル
- 野良猫などが住みつき鳴き声や糞尿トラブル
- 歩行者からゴミを投げ入れられ悪臭トラブル&不衛生
- 木の枝が敷地外に伸びて歩行者や車両を傷つけた
- 強風時に倒壊して負傷者が出たり隣の家が損壊したり
- 不審者が侵入するリスクが高まる
- 放火されるリスクが高まる
これらのトラブルが発生した場合、管理をしっかりとしてなかった所有者に損害賠償などの責任を取らせるケースもあります。
特定空家の指定を解除する方法
特定空き家となった場合でも、自治体の指導に従って問題のある個所を改善すれば指定解除になる可能性があります。特定空き家に指定された理由は明確ですからそこを改善すればOKです。
- 建物を修繕して倒壊などの危険性を排除する
- ゴミを撤去したり庭の草木を手入れして景観に配慮する
- 害虫や害獣が住みついている場合は駆除する
これらの対処を行ったうえで、自治体職員による改善確認をしてもらい、OKが出れば特定空き家の指定を解除してもらえます。
ただし、解除されたとしてもその後の管理を怠ればまた同じことの繰り返しになります。抜本的な解決策を検討する必要があるでしょう。
特定空き家に指定された場合の対処法
「住む」か「賃貸に出す」
家は誰も住まなくなった途端に傷みが加速していきます。逆に言えば、誰かが住み続けて管理すれば良いわけですから、「人が住む」というのが一番合理的で安上がりな方法です。
自分が住まなくても家族や親戚に住んでもらったり、他人に貸したりといったことが選択肢に入ってきます。
売却する
多くの人が検討するのが売却です。
売却する場合は建物を残して売却するのか、解体して売却するのかを検討しなければなりません。
建物を残して売却する場合、手間はかかりませんがあまり良い価格では売れないことが多いようです。古い建物が建っていて庭も管理されてない状態だとイメージが悪くて買い手が減るからです。
また、不動産業者に売却する際も、解体前提だと解体費用+解体業者を使う際の中間マージン分が差し引かれます。
売却前提で手元に一番お金を残したいのであれば、弊社のような解体業者に直接解体工事を発注するのが最適です。
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まとめ
特定空き家になると固定資産税が増えたり強制解体のリスクが現実味を帯びてきます。もし特定空き家に指定されたら早急な対応を取りましょう。
また、できることなら特定空家等に指定される前に管理、売却、解体などの対処をしておきたいものです。